あなたが普段練習しているコートの種類(サーフェス)はなんですか?
他のサーフェスでプレイしたことはありますか?
実はテニスコートには様々な種類があり、その種類特有の特徴(ボールの跳ね方、滑り方、推奨シューズ、有利・不利なプレースタイルなど)が様々あります。
本記事では、コートサーフェスにはどんなものがあり、どんな特徴があるか、何を気を付ければよいかなど
基礎知識をまとめました。
本記事を読んで、ご自分の練習コートについてはもちろん、「次の試合会場のサーフェスは〇〇だから、これを気をつけなきゃ」と大まかに分かるようになっていただければ幸いです。
・サーフェスによって何が変わるの?
・代表的な5つのサーフェスとその特徴
・コート環境のチェック事項
サーフェスという言葉の意味
そもそもサーフェスという言葉ですが、日本語訳で「表面」を意味します。
テニスコートは表面の材質を変えることで球速やボールの跳ね上がり方、フットワーク、プレイスタイルが様々となります。
ATP、WTAツアーなどで公認されているサーフェスは主に「ハードコート」、「グラスコート」、「クレーコート」となりますが、
日本の大会では「ハードコート」「砂入り人工芝コート」が主に使用されています。
サーフェスによって何が変わるの?
サーフェスが違うと何が変わるのか、特に影響のあるものをここで簡単に説明しておきます。
①バウンド後の変化
サーフェスの違いによる最大の変化は「ボールのバウンド」だといえます。
例えば、バウンド後ボールが低くスベる、もしくは高く跳ね上がる、逆に跳ねないで失速するなど、コート表面の材質によりバウンド後の変化が全く異なります。
②足の引っ掛かり具合
例えば皆さんは、天気の良い日の乾いた道や、ざーざーと雨が降っていて濡れている道、舗装がされていない凸凹な道など、その時々の道の状態で歩き方を変え(気を付け)ますよね。
テニスコートも材質により、足がキュッと止まったり(ハードコート、カーペットコート)、ザーッと滑ったり(クレーコート、砂入り人工芝コート)足の引っ掛かり具合がまるで変わります。
そのためテニスでは、そのサーフェス専用のシューズも存在します。(ハードコート用、クレーコート用など)
③有利なプレースタイル
例えばバウンド後にボールがスベるコートでは、サーブ&ボレーが有利ですし、バウンド後にボールが失速するコートではグラウンドストローク主体のプレーが有利だと言われています。
ボールのバウンドの変化、必要なフットワークにより、有利なプレースタイルが変わります。
代表的な5つのサーフェスとその特徴
代表的なサーフェス5つと、それぞれの特徴をご紹介します。
砂入り人工芝コート
どんなコート?
通称「オムニコート」。摩擦力の高い人工芝の表面に砂をまいて、摩擦を軽減したものです。
現在日本のほとんどのコートがこのオムニコートを採用おり、その理由がオムニコートは水はけがよく、雨後も短時間でプレーを再開できるため、雨の多い日本では適しているのでしょう。
ただ世界的にはあまり見かけない珍しいコートなので、環境面からみてジュニア選手の世界進出を遅らせる要因になっているのではないか、と主張する日本テニス界の著名人も多くいます。
砂の量にもよりますが結構スベります。なのでシューズ選びは足裏の凸凹が多い「オムニ・クレーコート用」のグリップ力の強いシューズをおすすめします。
プレーへの影響
ハードコートに比べると、ボールはバウンド後失速しやすく、やや低い弾み方をします。
球足が遅いため、強打してもエースが取りづらく、ラリーが続きやすいコートとなります。
ストロークをしっかり打てて、粘り強く、あの手この手で相手を大きく動かす組み立て・戦略に長けた選手に有利だといえます。
ハードコート
どんなコート?
ベースとなるアスファルトやセメントで足元を固め、その上に合成樹脂(ゴムチップ、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等)をコーティングしたものです。
ハードという文字の通りコンクリートのような固いコートになります。
他のコートに比べ地面の摩擦力が高いのが特徴です。
摩擦力が高い=シューズがキュッと引っ掛かりやすく、慣れないうちは捻挫等足のケガに注意です。
シューズ選びは、靴裏の凸凹が少ない「オールコート用」シューズを選ぶと良いでしょう。
4大大会では、全米オープンと全豪オープンで採用されています。
プレーへの影響
クレーコートや砂入り人工芝コートに比べると、ボールのバウンド後の速度はやや速く、高く弾みやすいです。
速いスピードでのラリーが増えるため、プレー展開も早くなりやすいです。
ストロークのレベルが同じくらいであれば、じっくり打ち合うタイプよりかは、スピードボールで攻めていくタイプ、もしくは自分から積極的に展開していくタイプに有利だといえます。
グラスコート
どんなコート?
天然芝を使用したコートで、格式高い大会として有名な全英オープン(ウィンブルドン)で使用されているコートです。
維持管理が非常に大変で、国内でプレーできる所は2か所しかありません。
滅多にプレーできないので、生涯一度は天然芝でプレーしたいと憧れるテニス愛好家も多いでしょう。
※筆者もそのうちの一人です。
メンテナンスの実際は、単に芝を刈り取ってラインを引いただけではなく、非常に多岐にわたります。
下記ページをご参照ください。
https://www.gcs-tc.com/court/maintenance
※佐賀県にある「グラスコート佐賀」のホームページに遷移します。
シューズ選びは「グラスコート用」を選びたいところですが、日本で扱っているところがほとんどないのが現状です。
外国のサイトを探せば見つかるかもしれません。
代替シューズとしては、滑りにくく、グリップ力のあるシューズを選ぶと良いでしょう。
プレーへの影響
もっとも球足が速く、ボールが低くスベってきます。
プレーをしていて芝が剥がれてくるとイレギュラーバウンドも起こりやすいのが特徴です。
上記特徴によりしっかりした打ち合いが難しいため、サーブとボレーを主体としたプレーヤーが有利だといえます。
足元が不安定なため、ボールのところまでしっかり足を運び、小刻みなステップが必要になってきます。
クレーコート
どんなコート?
表面を粘土もしくは赤土と細かい砂をまぜて作ったコートです。
日本でクレーといえば学校の校庭や公園などでみられる黄色の土でできたコートが一般的ですが、
世界各国で開かれる大会では、アンツーカー(高温焼成したレンガなどの土を粉砕してつくられる赤褐色の土)を使ったレッドクレーを採用している大会がほとんどです。
レッドクレーを採用している最も有名な大会はフランスで行われる全仏オープンでしょう。
シューズ選びは足裏の凸凹が多い「オムニ・クレーコート用」をおすすめします。
プレーへの影響
ボールはバウンド後失速しやすく、やや高めに弾みます。
その球足の遅さから、強打してもエースが取りづらく、ラリーが続きやすいコートとなります。
ストロークをしっかり打てて、あの手この手で相手を大きく動かす組み立て・戦略に長けた選手に有利だといえます。
カーペットコート
どんなコート?
絨毯のような素材を敷き詰めたコートです。
敷くだけで出来上がるので、一般的に地盤の弱い建物の2階や3階などに使われることが多いです。
建設およびメンテナンスが容易のため、最近のインドアテニススクールはカーペットコートを採用する所が増えてきています。
ハードコートと同じく地面の摩擦力が高く、(個人的にはハードコートよりも)シューズがキュッと引っ掛かりやすく、足を捻らないように気を付けたいコートです。
シューズ選びは、靴裏がつるつるした「カーペット用」シューズを選ぶと良いでしょう。
プレーへの影響
ボールがカーペットに沿ってスベってくるので、球足が速くあまり弾んでこないのが特徴です。
グッと溜めて打つのが難しいため、ボレー主体のプレーヤーに有利だといえます。
フットワークについても、ザーッとスベるようなスライディングは使えないので、小刻みに足を動かす丁寧な足運びが必要となります。
コート環境のチェック事項
初めて、もしくは久々に利用する会場でのコート環境について、何をチェックしたらいいのかをまとめました。
ボールのバウンド後の変化
・失速するのか、スベってくるのか。
・弾み方は低いのか、高いのか。
足の引っ掛かり具合
・スベりやすいのか、止まりやすいのか。
(インドアの場合)照明の感じ
・照明の位置を把握しておくこと。大雑把で良いので、どの辺に立てば眩しくなさそうか。
バックフェンス、サイドフェンスまでの距離
・どの程度後ろに下がれるか。外に追い出されたときどこまで追えるか。
※逆にサイドフェンスまでの距離が短い場合ワイドへのショットが有効になる
まとめ
こんなにコート環境に左右されるスポーツはテニス以外にそうそうないとは思います。
しかし環境への適応力も求められるのがテニス選手、愛好家の宿命でもありますね。
今回はテニスコートの種類について簡単にまとめてみました。
サーフェスへの正しい知識を持っておくと、このサーフェスでは何に気を付けて、どういうプレーをすればよいのか分かってきますし、ケガの防止にもつながります。
例えば摩擦力の高いハードコートでプレーするのに、グリップ力の強いオムニ・クレー用のシューズを履いてしまうと足が引っ掛かってつまずく危険性が高まります。
これから色々なサーフェスでプレーされる愛好家の皆様へ、本記事が少しでもお役に立てば幸いです。
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